ラズベリーパイCM4を用いたハードウェア開発と一般的なCPUボード開発の比較

はじめに
近年、IoTや組み込みシステムの開発において、ラズベリーパイCM4のようなシングルボードコンピュータが注目を集めています。本レポートでは、ラズベリーパイCM4を用いたハードウェア開発と、一般的なCPUボードを用いた開発を比較し、開発コスト、開発期間、性能面での有用性について考察します。

開発コスト
ラズベリーパイCM4は、ハードウェアとソフトウェアの初期費用が比較的低く抑えられるため、開発コストの削減に貢献します。

項目ラズベリーパイCM4一般的なCPUボード
ハードウェアコスト比較的低コストプロセッサ、メモリ、周辺回路など、個別に部品を揃えるため高コストになる場合が多い
ソフトウェアコスト無料のOS(Raspberry Pi OS)が利用可能商用OSの購入が必要な場合がある
開発環境無料の開発環境が充実している高価な開発ツールが必要になる場合がある

開発期間についても、ラズベリーパイCM4は回路設計が不要または簡易で済むため、開発期間を短縮できます。また、開発ソフトウェアに対する有用性が考えられます。豊富な開発リソースが利用できるため、ソフトウェア開発時間を大幅に短縮し短納期で市場投入が可能となります。

性能
ラズベリーパイCM4は、一般的な組み込みシステムにおいて十分な性能を発揮します。ただし、高負荷な処理やリアルタイム性が要求されるシステムでは、より高性能なCPUボードが必要となる場合があります。

項目ラズベリーパイCM4一般的なCPUボード
処理性能一般的な用途には十分な性能高性能なプロセッサを搭載し、より高度な処理が可能
I/O性能GPIO、USB、Ethernet, M.2, SDなど、豊富なI/Oインターフェースを搭載必要なI/Oインターフェースをカスタムで実装する必要がある
消費電力比較的低消費電力プロセッサの性能に応じて消費電力が変動

ラズベリーパイCM4の有用性
新しいアイデアを迅速に実装したい超短納期の製品開発に最適
IoTデバイスでセンサデータの収集や制御など、様々なIoTアプリケーションに利用
組み込みシステムにおいて小型・軽量な組み込みシステムの開発
産業アプリ開発を目指す学生や学習ツールとして活用

まとめ
ラズベリーパイCM4は、開発コストが低く、開発期間を短縮できるため、短納期を要求するアプリケーションに最適です。また、豊富なI/Oインターフェースとコミュニティサポートにより、様々なアプリケーション開発に活用できます。また、弊社ではリアルタイム性が要求されるシステムへの対応としてSTM32マイコンとラズパイを組み合わせたシステムも提供しており、1ms以下のセンサ処理等を要求するアプリケーションにも対応可能です。

結論
ラズベリーパイCM4は、ハードウェア開発の敷居を下げ、より多くの人々がハードウェア開発に参加できる環境を提供します。開発の目的に合わせて、ラズベリーパイCM4と一般的なCPUボードのどちらを選択するべきかを検討することが重要です。ロット数が多いものについては、一般的なCPUボード開発を選択する方が適している場合があります。弊社では、ラズパイを使用しないフルカスタムオプションも提供しています。

今後の展望
AI/機械学習: ラズベリーパイCM4上でAI/機械学習の推論を実行する
エッジコンピューティング: エッジデバイスでのデータ処理を加速
カスタムボード: ラズベリーパイCM4をベースにしたカスタムボードの開発

PiLink社が提供する2つのソリューション

ラズベリーパイCM4を用いたハードウェア開発
開発期間が短い、開発費用が少ない、数量が見込めないといった場合、最適なソリューション。ラズベリーパイコアモジュールを使用し、お客様の仕様にあったキャリーボードを開発。ラズベリーパイは、超小型のシングルボードコンピュータ (SBC) で関連する商品や書籍だけでなく、インターネット上には多くのプログラムコードが公開され初心者でも手軽にはじめやすく世界中で使用されています。

フルカスタムソリューション
供給期間が長く、数量が多い、また専用のハードウェアまたは特殊なドライバ設計が必要な場合に最適なソリューション。このケースではお客様の仕様に合わせた、ARM ベースの組込 Linux のボードコンピュータを試作開発から量産フェーズまで、そしてドライバ、ファームウェア、ソフトウェアの開発を一貫して提供。