産業用ラズベリーパイと暗号化コプロセッサによる最先端セキュリティ
産業用ラズベリーパイと暗号化コプロセッサ ATECC608Bによる最先端セキュリティ実現に向けたご提案です。
はじめに
近年、IoTデバイスの普及に伴い、産業用フィールドにおいてもセキュリティに対する関心が高まっています。特に、デバイスの認証やデータの暗号化は、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐ上で極めて重要です。IIoT(インダストリアルIoT)アプリケーションや産業用ネットワーキングでは、セキュリティや認証における需要が多くなりつつあります。本提案では、産業用ラズベリーパイと高度なセキュリティ機能を備えた暗号化コプロセッサATECC608Bを組み合わせることで、最先端のセキュリティを実現する方法について解説します。
産業用ラズベリーパイと暗号化コプロセッサATECC608Bの概要
産業用ラズベリーパイ:
堅牢性のある低コストで高性能なシングルボードコンピュータ
LinuxなどのOSを動作させ、様々なアプリケーションを実行可能
LAN, GPIOピンやUSBインターフェースを介して外部デバイスとの接続が可能
ATECC608Bセキュリティチップを実装できるオプションをあらかじめ用意
M2スロットによるSSD実装やLTE通信ボードなど柔軟な拡張オプション
マイクロSDによるデータバック2次メモリ実装
暗号化コプロセッサATECC608B:
マイクロチップテクノロジー社のセキュア要素
RSA-2048、ECC-P256などの公開鍵暗号アルゴリズムに対応
SHA-256などのハッシュ関数に対応
真性乱数生成器を搭載
セキュアなキーストレージ機能
産業用ラズベリーパイと暗号化コプロセッサを組み合わせるアドバンテージ
高レベルのセキュリティ実現:
ハードウェアレベルでの暗号化処理により、ソフトウェア攻撃に対する耐性を向上
セキュアなキーストレージ機能により、秘密鍵の漏洩リスクを低減
柔軟なシステム設計:
ラズベリーパイに使用可能な豊富な周辺機器と組み合わせることで、様々なセキュリティアプリケーションを開発可能
低コスト:
ラズベリーパイとATECC608Bは比較的安価であり、コストを抑えたセキュリティシステムを構築可能
実現可能なセキュリティ機能
デバイス認証:
ATECC608Bに格納された秘密鍵を用いて、デバイスの固有性を証明
不正なデバイスの侵入を防ぐ
データ暗号化:
ATECC608Bの暗号化機能を用いて、データを安全に保護
通信中のデータやストレージ上のデータを暗号化
セキュアブート:
ファームウェアやOSの改ざんを防ぐ
信頼できるソフトウェアのみを実行
真性乱数生成:
強力な暗号鍵を生成するために必要な真性乱数を生成
セキュアなキー管理:
ATECC608Bのセキュアなキーストレージ機能を用いて、秘密鍵を安全に管理
キー漏洩のリスクを最小限に抑える
実装例
-IoTデバイスの認証:
IoTデバイスにATECC608Bを搭載し、産業用ラズベリーパイ側のサーバと相互認証を行う
不正なデバイスからのアクセスを拒否
-セキュアなデータロガー:
センサーデータをATECC608Bで暗号化し、ラズベリーパイに保存
データの改ざんを防ぐ
-セキュアなネットワークゲートウェイ:
ネットワークトラフィックを監視し、不正なアクセスを検出
ATECC608Bを用いて、VPN接続を確立
まとめ
産業用ラズベリーパイとATECC608Bを組み合わせることで、高度なセキュリティ機能を備えたシステムを低コストで実現できます。IoTデバイスのセキュリティ対策だけでなく、様々な分野での応用が期待されます。
参考資料
Microchip Technology社 ATECC608B Datasheet
ラズベリーパイ財団公式ウェブサイト