はじめに
PL-R4シリーズは一般のラズベリーパイと外観やインターフェースは異なりますが、組込み向けのRaspberry Pi Compute Moduleを搭載しており、電源を投入すると一般のラズベリーパイと同じようにRaspberry Pi OS(2024年10月時点ではBullseye 32bit)が立ち上がります。その他のイメージに入れ替えることも可能ですが、本記事では出荷時のイメージをそのまま使用して初回起動する際のクイックスタート手順をご紹介します。
<内容>
必要な機材
電源とLANの配線
VNC接続
固定IPの設定
Raspberry Piのパスワード変更
必要な機材
PL-R4本体
PL-R4シリーズは様々な接続機器に対応できるようインターフェースのバリエーションが豊富です。モデルによってはIP65(防塵防水)タイプとIP20(非防水)タイプの展開があります。モデルによりコネクタの仕様などが一部異なりますが、初期設定で行う内容や手順は同じです。今回はUSB 2.0x3ポートの非防水型「PL-R4 USB IP20」を例とします。(下図 左:外観、右:主要インターフェース)


その他の機材
・Windows PC( USBポート搭載、Windows10 Pro 推奨)
・DC24V 安定化電源 または DC24V ACアダプタ
・E0ポート用LANケーブル または E1ポート用LANケーブル
・USB キーボードおよびマウス*(USBポートが不足する場合はUSBハブをご用意ください)
・ネットワーク環境(アプリケーションのダウンロードが必要な場合のみ)
*USB IP20モデルの場合はUSBポートが3ポートあるためUSBキーボードとUSBマウスを同時に接続できますが、USBポートが1ポートしかない他のモデルの場合はタッチパッドつきのUSBキーボードが便利です。[推奨品:PERIBOARD-510H PLUS US/ ペリックス社]
リモート操作プログラムの用意
今回はモニタを使用せずにWindows PCからVNCでPL-R4に接続して設定するため、 以下のURLからVNC ViewerをあらかじめWindows PCにダウンロードしておきます。
https://www.realvnc.com/en/connect/download/viewer/
配線と電源投入
電源とLANの配線

- 電源
PWRポートに電源ケーブル(オプションアクセサリ)を接続します。
電源は本体電源[V1]と補助電源[V2]の2系統あり、先バラになっている電源ケーブルを以下のように安定化電源またはACアダプタ等に配線します。
茶 DC24V(+)[V1]
白 DC24V(+)[V2]
青 0V(-)[V1]
黒 0V(-)[V2] - LAN
今回使用する本体のようにIP20タイプの場合は、E0とE1の2ポートのLANがあります。いずれか一方のLANポートと、Windows PCをLANケーブルで接続します。(IP65タイプの場合はE1ポートのみです)
E0ポートはix Industrialという規格のコネクタで、RJ45よりも小型ながらギガビット対応可能です。E1ポートはM8コネクタです。
・E0ポート:1000Mbps (デフォルトIP 192.168.0.10)
・E1ポート: 100Mbps (デフォルトIP 192.168.1.10)
対応ケーブルは本体とあわせてオプションアクセサリとしてご購入いただけます。
電源投入
すべての配線を完了後、電源を投入します。
VNC接続
Windows PCのIPアドレスを指定
VNC ViewerでPL-R4に接続するには、Windows PCが同じネットワーク上にあるようにIPアドレスを設定しておく必要があります。イーサネット接続時のIPアドレスをDHCPではなく手動で割り当ててください。
E0ポートと接続する場合
Windows PCのIPは192.168.0.xx (xxは1~255の間で10以外の任意の値)
E1ポートと接続する場合
Windows PCのIPは192.168.1.xx (xxは1~255の間で10以外の任意の値)
VNC Viewer接続

Windows PCでVNC Viewerを起動し、使用するPL-R4本体のLANポートに応じてIPアドレスを入力します。
E0ポート:192.168.0.10
E1ポート: 192.168.1.10

セキュリティダイアログが表示される場合は”Continue”をクリックし、ユーザ名とパスワードを入力します。デフォルトでは以下です。
Username: pi
Password: raspberry

正常に接続されるとVNCリモートデスクトップ画面が表示されます。
インストールされているイメージにより表示される画面やここまでの操作が一部異なる場合があります。
固定IPアドレスの設定

PL-R4のIPアドレスを使用環境に応じてDHCPまたは固定IPアドレスに設定することができます。
画面右上の矢印のアイコンを右クリック し、”Wireless&Wired Network Settings”を選択します。
表示された設定ダイアログで”eth0″または”eth1″を選択し任意のIP アドレスを入力してください。eth0は本体のE0ポート、eth1は本体のE1ポートです。再起動後、設定した値が有効になります。
“Automatically Configuration empty options”のチェックを外し、IPv4 AddressにIPアドレスを入力しない場合はDHCPとなります。


Raspberry Piのパスワード変更
VNC接続時にデフォルトのユーザ名とパスワードを入力しましたが、パスワードはセキュリティ上変更することを推奨します。

コマンドラインで$ sudo raspi-config と入力します。
1 System Options を選択し、次にS3 Password を選択します。


任意の新しいパスワードを入力します。入力中のパスワードは表示されません。
Enterして次の行で新しいパスワードをもう一度入力します。ここでも入力中の値は表示されません。


新しいパスワードが設定されると”Password changed successfully”と表示されます。
<OK>で進み、<Finish>で設定画面を閉じます。


以上でクイックスタートは完了です。ご用途に応じてさらに必要な設定をこの後続けて行ってください。